■ 建て主さん大黒柱の伐採に森へ
コウ設計工房で設計を依頼された建て主さんは、森に木を選びに行くところから携わって下さる方が多くいらっしゃいます。
ご家族みんなで参加して、お子様にとってもとても貴重な体験となります。
自邸の大黒柱に選んだ木にチェーンソーを入れていきます。
建て主さん自ら、チェーンソーを体験!
木が倒れてきました!
大きな木が倒れるのは迫力があります。
神秘的な瞬間ですね~。伐採は無事終了です。
建て主さん、関係者のみなさまありがとうございます。
■ NPO西川・森の市場
西川・森の市場は、西川材の調達から設計、施工に至るまで木の家づくりの相談窓口となるNPO法人です。
杉、桧でつくられた事務所は開放的で、狭いながらも、木育教室や家づくりセミナーなども行ないます。
木材も多少は置いてありますので、一度訪ねてみてください。
ちなみに、この建物の設計は、コウ設計工房で担当させていただきました。
もともと、材木屋の細田さんと一緒に、山主さんと建て主さんをつなぐ運動を細々とやり続けたことが、やがて県庁職員(農林部)の目に留まり、今の「NPO法人・森の市場」を立ち上げるに至った会議に呼ばれることになりました。我々の活動や建て主さんの傾向、木の使い方など発表し、木材ストックや林業組合製材所跡地利用なども議論しながら、最終的にNPO法人西川・森の市場が動き出しました。
■ 西川材
江戸の昔、「西の方の川から来る材」、
いかだに乗せて運ばれてくる良材として、そのような名で呼ばれるようになったそうです。
埼玉県の南西部、荒川支流の入間川、高麗川、越辺川の流域を西川林業地と呼んでいます。西川林業地には、西川という地名はありません。
地域の大部分は秩父生層からなる褐色森林土、年間気温が12~14℃、平均降水量が1700~2000㎜、積雪は年3~4回と比較的温暖。地質、気候ともスギ・ヒノキが育つのに程よい環境。そして、よく手入れがなされたことから、良質な木の産地として一目置かれるようになったそうです。
材料の特徴は、年輪の間が狭く高密度で、強度が高く、たわみや変形しにくい優良材。
山土場に集材される西川杉
■ 地産・地消にこだわって
地産・地消で地域と森が元気になる。
最近、直売所やスーパーなどで売られている農産物に生産者の名が書かれているケースも多くなってきました。
地産地消は、生産者の責任感や意欲の向上、文化継承や新たな取組への想像、輸送エネルギー削減など、地域活性や環境に貢献します。
地元で採れた野菜を食すように、住まいも安全、安心な材料でつくりたいものです。
外国から運ばれて来た木材より、地域材利用が一番エコで、なおかつ森の環境を守ることにつながれば、利用しない手はないと思いませんか?・・
コウ設計工房は、やっぱり「地域材」にこだわります。
■ 木の家を奨める5つの理由
1.生まれ育った飯能市が西川材の産地だから
2.木の特質にも良し悪しあるけど、良いところが上回っているから
3.感覚的にも視覚的にも心落ち着き、気持ちいいから
4.木を扱える職人、技術の継承をしなければならないから
5.地域の森、日本の森を守ることに貢献したいから
ここから先は長文になりますが、ひとつひとつ説明します 。
1.埼玉県の西部に位置する飯能市近郊の西川林業地は江戸時代より、川を利用して筏(いかだ)で木材を江戸へ運んでいた歴史があり、西の方の川から運ばれる良材として「西川材」と呼ばれるようになりました。
そんな木材の産地に生まれ育ったことから、地元の特産「西川材」で家をつくって欲しいと思い、木の家をお奨めしています。
2.木は反ったり捻じれたり、割れたりもしますが、それは自然素材ゆえの乾燥による事が主な理由です。
しかしながら、断熱性、保温性、調湿性、防火性能などに優れ、軽くて循環できる自然に優しい素材であることから、マイナス面は大目に見て、プラス面を生かした設計をすることにより、本当の「いい家」ができます。
3.まぶしい光を吸収して柔らかい光に変えたり、湿気を吸って「じめじめ感」を取り除いたり、弾力性もあるので安全な素材です。
また、気持ちを落ち着かせるなどの効果も発揮され、木造校舎などで学ぶ子供は「切れ難い」「集中力が養われる」など、精神衛生面の効果も研究発表されています。
4.大げさのようですが、多くの家が大工さんの技術を必要とせずにつくられています。
勿論、「技術を発揮できる仕事ではない」という意味ですが、もう数年先には、本当に技術を持った大工はいなくなってしまうのではないかと思います。
木を見ても材種が判らない設計者は多いですが、木の種類や特性も知らない大工が大工と呼ばれないように、技術を発揮できる場をつくる事も我々の仕事だと思っています。
「ものづくり日本」は世界でも技術の高い職人がいるということで有名なのですから・・・
5.国の政策ということもありましたが、ずいぶん前から外国の材料が主流になりました。
戦後の政策で植林された木々は今、「使い頃」を向かえ、その時期を過ぎても伐採されずに放置されたりもしています。
結果、間伐もされない森の地表は日があたらずに草も生えなくなり、土は雨で流され、根がむき出しになった木々は倒れ、根の無い山の土は緩んで土砂崩れなどを招きます。
地域の、日本の木を使うことで少しは森を守ることにも貢献できるはずです。
そんなに大げさに考えなくても、地域材を使えばその地域が元気になる・・地産地消の考え方に賛同してくれればいいだけなのです。
家を建てる時には、漠然と「木の家がいいな・・」と思った・・・という建て主さんがほとんどだと思います。
しかし、「木の良さ」を解ってくれた建て主さんたちが「木の家に暮らして」、改めて「木の家にして良かった」と、全員が思っていることと確信しています。